慢性的な渋滞が深刻な問題となっている長野県松本市で、11月から道路が10年間通行止めという異例の事態になっている。該当する場所は24時間の交通量が約5600台の主要な踏切だ。

渋滞解消と安全性向上のため、この踏切は廃止されアンダーパス化されることとなったが、通り道を失った数千台の車はどこへ向かったのか。迂回先となっている「やまびこ地下道」では大渋滞が発生し、1.2km進むのに23分もかかる状況となっていた。実走行のデータをもとに、ネット上での市民の声もまじえ取り上げていく。

廃止された宮田前踏切のある「南松本」の位置関係はこのようになっている。

やまびこ地下道を先頭に
— マツサイ (@matsumoto_news) November 4, 2025
笹部のスタバまで大渋滞… pic.twitter.com/msolYhKPH3
宮田前踏切が廃止されて最初の帰宅時間帯。この踏切を日常的に利用していた数千台の車が、迂回先のやまびこ地下道に流れ込み大渋滞となっていた。

またそのアンダーパスがあるやまびこ道路と交差する道では、滞留する車で青信号になってもT字路を右折できない車が続出。青になっても1台も進むことができず、赤に変わるいう異様な光景が繰り返されていたのだ。
11月上旬 とある平日の帰宅時間帯に私も実際に走行してみた。この日は快晴かつ周辺でのイベントもなし、観光客ではなく市民が通る道路である。

やまびこ地下道を抜けた「出川西交差点」を先頭に、国道19号と交わる「高宮交差点」の西側まで1.2kmの渋滞となっていた。

半分の600mの時点で12分が経過。進まない時間がほとんどで、私の後ろも車の大行列。

最終的には1.2km進むのに23分もかかった。「松本は自転車のほうが早い」とはよく言われているが、この区間に関しては”歩くほうが早い”という車社会の地方都市であってはならない事態となっていた。
このような状況に市民からは、道路行政への怒りや失望の声が多く上がっている。
「通勤でヘトヘト…」
「青信号で1台も進めない」
「迂回先で集中豪雨や事故が起きたら…」
「高架のほうが低コスト&工期も短いのでは」
「迂回を呼びかける以外に何か対策できないのか」
「10年かけてやるほどの価値があるのか」
「10年これに耐えろってこと?無策なんですかね」
「工事前から渋滞してるのになんで事前に対策しないのか」
「松本市の交通行政は最悪」
「道路行政は計画性が皆無」
「ホントに長野の道路行政カス」
「元々混んでたのに何の対策もしてないの無能すぎて呆れる」
「適切な迂回路を作らずに踏切封鎖するから…もっとシミュレーションした上で工事を始めてほしかった」

松本市内では今回取り上げた場所以外にも、他の都市ではあり得ない状態となっている所も多い。
人口40万人都市圏を貫く幹線国道が”片側1車線かつバイパスなし”という異常な状況を筆頭に、右折レーンがない交差点が多く”松本走り”という危険な走行が日常的になっていたり、橋の架替えで信号サイクルが4パターンのため全方向で大渋滞となっている”巾上地獄”なるものも存在している。
パルコ井上ヨーカドーなど大型商業施設が次々と閉店し、道路はデコボコ大渋滞という悲惨な2025年の姿を誰が想像できただろうか。ここから商都松本を取り戻し市民が安心安全に暮らせる街を作るために、渋滞緩和と道路整備を力強く推し進めていかなければならない。






